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採用ノウハウ
応募数が伸び悩む理由はここにあった!採用マーケティングの基本と見直しポイント
求人を出しても応募が来ないのはそこに求職者がいないのか?
それとも自社の求人が応募したい求人になっていないのか?
結論から言えば、どちらの可能性も考えられますが、近年は「応募したいと思われる求人になっていない」ことが大きな要因になりがちです。たしかに人口減少や専門人材不足が背景にある場合もありますが、それ以上に、求職者のニーズや価値観が多様化しているにもかかわらず、従来と同じ方法で求人を出している企業が多いのも現状です。
「こんなに求人広告を出しているのに、なかなか応募が来ない……」
「いろいろ対策を打ったはずなのに、思ったように採用が進まない……」
採用担当者にとって、応募数が伸び悩むという課題は非常に身近で深刻な問題です。少子高齢化による労働人口の減少だけでなく、多種多様な企業が激しい人材獲得競争を繰り広げる現代では工夫なしに“待っている”だけでは、候補者は集まりにくくなっています。
そこで重要になってくるのが、「採用マーケティング」の視点です。従来の「とりあえず求人を出して、応募を待つ」という受け身の採用手法ではなく、求職者目線を徹底的に理解し、能動的・戦略的にアプローチを行う手法こそ、いま多くの企業が必要としています。
なぜ応募が集まらない?採用マーケティングの重要性
長らく日本企業では、「ハローワークや求人サイトに求人票を出す」「学校訪問で新卒採用を行う」といった方法が主流でした。たしかに人口が多く、求人を出せばある程度の人材が集まった時代には、そのような採用活動で十分成立していたかもしれません。しかし、現代では以下のような事情によって、従来型の手法だけでは人材確保が難しくなっています。
労働人口の減少と競争激化
少子高齢化が進行する中、人材を求める企業は増加し、求職者が選べる選択肢が多様化。企業が「欲しい」と思う層ほど、あらゆる企業からスカウトを受ける状況になっています。
インターネットやSNSの普及
求職者は企業比較をオンライン上で手軽に行い、口コミサイトやSNSで社内事情を調べられるようになりました。企業サイドの一方的な情報発信では、なかなか信頼を得られないのが現実です。
働き方や価値観の変化
終身雇用や年功序列が崩れ、「自分らしく働ける環境」「スキルアップを実現しやすい職場」を求める人が増加。企業の知名度や規模だけでは、魅力を感じてもらえないケースが増えています。
このような背景から、単に求人を“掲載して待つ”だけでなく、「自社の良さをどのように伝え、求職者を獲得するか」を戦略的に考える必要があるのです。そこで注目されているのが、製品やサービスを顧客に売り込む「マーケティング」の手法を採用活動に応用した「採用マーケティング」です。
採用マーケティングの基本的な考え方
採用マーケティングは一般的なマーケティングのフレームワークを活用しながら、ターゲットとなる人材像を明確にし、その人たちに響くメッセージやチャネル、コミュニケーションの方法を考えるプロセスを指します。
①ターゲット設定(ペルソナ設定)
•どんなスキル・経験・価値観を持った人材を求めるのか?
•理想の人材像を複数設定し、具体的にイメージする。
②自社の強み・魅力の整理
•ターゲットの目線から見たときに、どこに魅力を感じるか?
•給与や福利厚生だけでなく、働きがいや社風、成長機会など。
③チャネル・コンテンツの選定
•求める人材はどのような媒体に触れているか?
•求人サイト(Indeed、求人ボックス)、SNS、リファラル採用など。
④求人票や各種クリエイティブの作成
•テキスト、動画、画像など多彩な形で、ターゲットに響く内容を発信。
•一貫したメッセージ・ブランディングを行う。
⑤効果測定と改善
•応募数や応募者の質、面接の転換率などを数値で把握し、改善策を講じる。
•PDCAを回しながら、最適解を模索していく。
この一連の流れを丁寧に行うことで、漠然と「いい人が来ない」と嘆くのではなく、「どの段階でどのような課題があり、どう修正すればいいか」を論理的に考えられるようになります。多くの企業で、このプロセスが中途半端だったり、そもそも認識されていなかったりするのが、応募数伸び悩みの大きな要因と言えるでしょう。
応募数が伸び悩む主な原因
応募数が伸び悩む原因は多岐にわたります。ここでは代表的な要因をいくつか挙げ、それぞれどのように改善していくべきか考えてみましょう。
①仕事内容がわかりにくい
・「営業」「事務」という大雑把な言葉だけで、実際にどんな仕事なのかイメージできない。
・実際に入社した際の業務内容や流れなど、詳細が書かれていない。
・専門用語が多い。
②求める人物像と報酬のバランスが取れていない
・経験や高度なスキル・資格を求めるのに給与が低い。
・誰にでもできるように見える仕事なのにやたらと要件が厳しい。
・人物像が明確ではない上、給与レンジに幅がありぎる。
③企業の魅力や働くメリットが見えない
・自社の強みをPRしていない。
・福利厚生や社内の制度について明確に記載されていない。
・職場環境や現在働いているスタッフのことに触れられていない。
応募者は求人票を見て、仕事のやりがいや環境、給与・待遇など多面的に評価します。その際、企業側が「何をアピールしたいか」だけを並べるのではなく、「応募者がどんな情報を欲しているのか」を意識しなければなりません。
また、どんなに良い求人票を作っても、求職者が見ていない場所に掲載していては意味がなく、自社が求める人材が、普段どのようなサイトを利用して情報収集をしているのか、その行動パターンを理解する必要があります。
言うまでもなくハローワークや求人誌、情報誌などの紙媒体を使って求人を探す方々は減少傾向にあります。特に若年層や求める情報が明確な方々はIndeedや求人ボックスといった情報量が多く、求める情報を簡単に検索でき、応募までストレスなく完結できる求人サイトを好んで使う傾向にあります。
ここまで、応募数が伸び悩む原因と採用マーケティングの基本的な実践ポイントについて解説してきました。大切なのは、あくまで求職者の目線に立って、自社をどのように見せ、興味を持ってもらうかを考えることです。そのうえで、「出して終わり」ではなく、効果を測定しながら継続的にPDCAを回していくことが大変重要です。
「応募が来ない」という課題は、裏を返せば「どうすれば求める人材にとって魅力的に映るのか」を真剣に考えるチャンスでもあります。企業の強みや人間味が明確に打ち出せれば、多くの人が「ここで働いてみたい!」と感じてくれるはずです。