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2025.06.16

新卒採用

高校新卒採用のスケジュールと近年の採用市場について

近年の高校新卒採用市場は、少子化の進行に伴い「売り手市場」が一段と顕著化しています。まず、ハローワークに求職登録した高校新卒者(令和7年3月卒予定者)の就職内定率は63.2%と前年同期を0.2ポイント上回り 、求人倍率は3.91倍に達しています。(同0.12ポイント上昇) つまり、1人の高校生を約4社が争奪する構図です。

一方で、高校を卒業して就職を希望する生徒数は減少傾向にあり、2024年卒では約12.0万人(2020年卒16.6万人)と、4年間で約4.6万人減少しています 。これに対し、求人件数は48.2万件(2024年3月卒)と過去最高水準で推移しており、人手不足感の高まりを裏付けています 。

企業側の動向を見ると、2025年卒採用計画がある事業所のうち「高校卒」を44%が対象に含めており、前年比1ポイント増加しました 。業種別では製造業が最も高く74%、次いで建設業58%、宿泊・飲食サービス業45%と、高卒を積極的に採用する傾向が続いています 。

学科別就職率も高く、工業99.5%、水産99.2%、商業98.9%と専門学科の就職率が極めて高い一方、普通科でも95.9%の就職率を確保しています 。この背景には、職業教育の充実に加え、企業のインターンシップ受け入れや職場見学の拡大など、ミスマッチ防止策が奏功していることが挙げられます。

また、人手不足と若年層の定着強化を図る企業は、初任給の引き上げ(2025年入社予定者の53.5%が賃上げ予定)、残業削減、職場環境整備、資格取得支援など福利厚生の充実にも注力しています 。さらに、オンライン面接やバーチャル企業見学などデジタルツールを活用した採用手法が広がり、高校生のアクセスハードル低減にも寄与しています。

 

高校新卒採用の注意点とスケジュール

高校新卒者を採用する際には、まず法令遵守として、18歳未満の深夜労働(午後10時~午前5時)や週労働時間の上限など、労働基準法上の年少者保護規定を十分に確認することが必須です。学業優先の配慮として、試験期間や学校行事への参加を尊重し、シフト調整や休暇取得に柔軟に対応しましょう。

また、ミスマッチ防止のために職場体験やインターンシップを通じて仕事内容を具体的に提示し、入社前に働くイメージを持ってもらうことが効果的です。さらに、保護者や学校進路指導部への説明会を実施し、労働条件や教育研修体制を丁寧に説明して理解を得ることが信頼構築につながります。

最後に、配属後の定着率向上にはメンター制度や定期面談、社外カウンセリングなどを整備し、精神的なサポート体制を用意しておくことが重要です。これらを踏まえた環境づくりが、若手の早期離職防止と育成促進を両立させる鍵となります。

 

6月から順次ハローワークの方で求人の受付を開始しておりますが求人公開からのスケジュールは以下の通りです。

7月1日~:ハローワークWebサイトおよび窓口で求人情報公開

7月~8月:求人票を高校に送付し、進路指導部への訪問や学校説明会に活用

9月5日:高校生からの応募書類提出開始(沖縄県は8月30日)

9月16日:企業による選考・内々定開始

10月以降:必要に応じて二次募集を実施

 

高校新卒者の会社選びの傾向

高卒新卒者の会社選びでは、まず「初任給・待遇の充実」が最重視されます。生活基盤を早期に確立したいというニーズから、基本給や諸手当、家賃補助などの福利厚生に目が向きがちです。次に「勤務地の利便性」が続き、通勤時間や勤務先の所在地が通学時と同程度か、それ以下かどうかを重要視します。

また、仕事内容の「具体性・明瞭性」も大きなポイントで、自分が当初から携われる業務やその成長シナリオがイメージしやすい企業が選ばれやすい傾向にあります。さらに、同世代の「先輩社員の声」や「職場の雰囲気」を重視し、説明会や職場見学で感じた社風の安心感が意思決定に影響します。加えて、企業の「安定性・将来性」も見逃せない要素で、地域密着型や業績が安定している業界(製造業・物流・公共インフラなど)が支持されやすいです。

最後に、コロナ禍以降は「働き方の柔軟性」も注目され、シフト制の有無や残業時間、休暇取得のしやすさを比較した上で志望先を絞り込む高卒新卒者が増えています。これら複数の要素を総合的に判断し、自分の生活設計や価値観に合った企業を選ぶのが、現代の高卒新卒者の傾向と言えます。

 

都道府県別高卒初任給ランキング

1.東 京:190千円

2.福 井:190千円

3.滋 賀:190千円

4.熊 本:187千円

5.鹿児島:186千円

6.神奈川:182千円

7.大 阪:182千円

8.愛 知:181千円

9.京 都:181千円

10.兵 庫:181千円

11.宮 崎:181千円

12.埼 玉:180千円

13.千 葉:180千円

14.大 分:180千円

15.広 島:179千円

16.静 岡:178千円

17.福 岡:178千円

18.栃 木:177千円

19.石 川:177千円

20.長 野:177千円

21.奈 良:177千円

22.岡 山:177千円

23.北海道:176千円

24.茨 城:176千円

25.群 馬:176千円

26.富 山:176千円

27.山 梨:176千円

28.岐 阜:176千円

29.三 重:176千円

30.山 口:176千円

31.新 潟:175千円

32.和歌山:175千円

33.香 川:175千円

34.愛 媛:175千円

35.宮 城:174千円

36.徳 島:174千円

37.佐 賀:174千円

38.福 島:173千円

39.鳥 取:173千円

40.島 根:173千円

41.高 知:173千円

42.長 崎:173千円

43.岩 手:172千円

44.秋 田:172千円

45.山 形:172千円

46.青 森:171千円

47.沖 縄:170千円

少子高齢化に伴う深刻な人手不足や政府・経団連の賃上げ要請、最低賃金の大幅改定などを受けて、高卒初任給は2019年度の約167,400円から2024年度には約189,700円へと、およそ22,300円(13.3%)上昇しました。特に製造業や建設業、物流・介護業界を中心に採用競争が激化し、企業は若年人材確保のため給与引上げを加速。今後は全国平均で20万円台到達が見込まれ、中小企業でも生産性向上補助金を活用しつつ、住宅手当や資格手当、リモート勤務手当など各種手当の充実による実質賃金底上げ策が一層進むでしょう。

 

高校新卒採用成功の5つのポイント

 

①企業理解を深める機会の提供

説明会や職場見学、短期インターンを通じ、仕事内容や社風を五感で体感してもらい、入社後のミスマッチを防ぎます。合わせて、社内先輩社員による座談会や動画メッセージなど、年齢や価値観の近いロールモデルを用意すると効果的です。

 

②応募~選考プロセスの迅速化

高校生は進路指導のスケジュールに合わせ動くため、応募受付から内々定通知まで2カ月以内を目安に設計します。Webエントリーやオンライン面接を導入すれば、手続きのハードルを下げつつ、応募者の心理的負担も軽減できます。

 

③保護者・学校への丁寧な情報共有

「保護者・学校への丁寧な情報共有」も忘れてはいけません。保護者説明会や進路指導部との定例ミーティングを実施し、労働条件や育成プログラムを明示して信頼を獲得。家庭や学校の後押しを得ることで、内定辞退や早期離職のリスクを大幅に下げられます。

 

④定着・成長支援の充実

入社後は「定着・成長支援」が肝要です。若手教育に熱意あるメンターを配置し、定期面談やOJTで業務定着をサポート。基礎ビジネスマナー研修や社外カウンセリング窓口の設置で、精神的ケアとスキル習得を同時に実現します。また、半年ごとのキャリア面談で適性や志向をすり合わせ、成長実感を持たせることでモチベーションを維持。

 

⑤評価・報酬の透明化とフィードバック文化の醸成

「評価・報酬の透明化とフィードバック文化の醸成」が、才能ある若手を長く活躍させる秘訣です。具体的な目標設定と定量評価を行い、達成度に応じた表彰や昇進ルートを明示することで、自律的に成長を目指す風土が醸成されます。

 

少子高齢化が進む日本において、高校新卒採用は若年労働力の確保のみならず、長期的な社内人材育成や組織文化の継承を支える要です。成長意欲に富む高卒者は柔軟性やチームワークに優れ、自社独自の教育プログラムで戦力化しやすい特徴があります。さらに地域密着型の採用で地元企業としてのブランドを強化でき、社員の定着やコミュニティとの連携を促進します。これにより持続的なイノベーションや次世代リーダーの育成が実現し、企業の競争力向上と社会貢献を同時に果たすことができます。この採用難の中で今後、高校新卒採用にも力を入れていくことは企業として不可欠になっていくでしょう。

 

高校新卒採用に関することでご不明点やご相談したいことがございましたらお気軽にお問い合わせください。

 

 

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