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2024.05.09

採用ノウハウ

副業人材あり?なし?

近年、日本の労働市場では副業の解禁と多様な人材活用のニーズが高まり、副業人材の活用が注目を集めています。

これまで終身雇用や年功序列の文化が根強かった日本社会でも、バブル崩壊以降の経済停滞や働き方改革の流れにより、従来の雇用慣行が揺らぎ始めております。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークが普及し、オンライン環境を利用した柔軟な働き方が定着しつつあります。

副業はこのような背景から、企業と労働者の双方にとって多様なメリットがあります。これからの副業人材のニーズは、働き方の多様化と企業の変化するニーズに合わせて増大すると予想されています。特に以下のような点が注目されます。

 

①IT・デジタル技術のスキル
デジタル技術が進展する中、IT関連スキルを持つ副業人材への需要が高まっています。ソフトウェア開発やデータ分析、サイバーセキュリティ、AI、クラウドコンピューティングなどは、企業が持つ課題に対応するために重要視されています。

 

②マーケティングとコンテンツ制作
企業はデジタルマーケティング、ソーシャルメディア管理、コンテンツ制作に強い副業人材を求めています。特に、SEO対策、ブランディング戦略、インフルエンサーとのコラボレーションを行うスキルが重視されています。

 

③コンサルティングと戦略立案企業の成長戦略やビジネスプロセスの改善をサポートするコンサルティングは、業界を問わず需要が高まっています。特にスタートアップ企業や中小企業で経営アドバイスを提供する副業人材が重宝されています。

 

④教育・研修

企業内研修やオンライン教育の分野では、副業人材が専門知識を持つ講師として採用されています。特にDX(デジタル変革)関連のスキルや、リーダーシップ、コミュニケーションスキルなど、個人のスキルアップに関連したトレーニングにニーズがあります。

 

⑤業務代行・リモートアシスタント
リモートワークの普及に伴い、事務作業や人事関連の業務、顧客サポート、経理などをリモートで補助するアシスタントの需要も高まっています。

 

これらのトレンドは、働き方改革の進展やコロナ禍によるリモートワークの普及、グローバル競争の激化といった要因から来ているため、企業はこれからも柔軟な人材活用戦略を求め、副業人材の需要がますます増えると考えられます。

 

 

副業人材を活用するメリット

①専門知識の導入
副業人材は特定のスキルや専門知識を持っており、企業の抱える特定の課題解決に直接貢献できます。たとえば、IT、マーケティング、デザイン、データ分析などの分野では、外部からの専門家が即戦力となり、社内のスキルギャップを迅速に埋められます。

 

②人材不足の緩和
少子高齢化による労働力不足が進む中、柔軟な雇用形態で働く副業人材は、企業のリソースを補完し、即戦力として活用することが可能です。特に短期プロジェクトや繁忙期においては重要な労働力になります。

 

③コスト削減
正社員としての雇用に比べ、副業人材は短期契約やプロジェクトベースの採用が可能なため、コスト面で柔軟なアプローチが可能です。必要な期間やプロジェクトに限定した雇用により、人件費の最適化が図れます。

 

④イノベーションの促進
副業人材は通常、複数の業界やプロジェクトで活動しているため、異なる視点や新しいアイデアを企業にもたらします。これにより、既存の従業員だけでは考えられないような革新的なアイデアを生み出すことが期待されます。

 

⑤ネットワーキングの拡大
副業人材を採用することで、新たな業界やビジネス領域との接点が増えます。これは、事業拡大やマーケティング戦略の立案に有効であり、企業のネットワークが拡大することで新しいパートナーシップの機会を得ることが可能です。

 

 

副業人材を導入するデメリット

①機密情報漏洩のリスク
副業人材が複数の企業と関わっている場合、競合する企業に対して重要な情報が漏洩するリスクが生じます。このため、機密保持契約を結ぶなど、事前の対策が必要です。

 

②法的リスクと契約
正社員と異なり、副業人材との契約には特殊な法的リスクが伴います。たとえば、労働時間や報酬、契約の範囲に関する明確な取り決めがなければ、トラブルの原因となりえます。

 

③コミュニケーションの困難
副業人材は常時オフィスにいるわけではないため、コミュニケーションの取りづらさが生じる場合があります。特にプロジェクトマネジメントやタスク共有が重要な業務では、適切なコミュニケーション手段を整える必要があります。

 

④組織文化への影響
外部の人材がプロジェクトに参加することで、企業内部の組織文化やチームワークに変化が生じることがあります。これは新しい視点をもたらす一方で、既存の社員にとっては摩擦や不安感を引き起こす可能性もあるため、社内の心理的なサポートも必要です。

 

⑤従業員のパフォーマンス低下
正社員が副業を行う場合、本業と副業のバランスが取れず、本業での生産性が低下するケースが考えられます。企業は従業員の業務パフォーマンスを把握し、副業の可否や適切な働き方を検討することが重要です。

 

 

これからの副業人材について

企業が副業人材を活用する際には、従業員の就業規則や競業避止義務に十分な配慮が必要であります。また、副業人材に適切な報酬を提供し、業務の透明性を確保するための契約が重要です。さらに、副業人材のスキルアップを支援するための研修プログラムや情報共有のためのプラットフォームを構築することも有効です。

 

政府は、働き方改革の一環として副業の普及を支援しています。多くの企業が副業人材を活用する上で、副業に関するガイドラインの整備や、副業人材の保護に関する法律の明確化、企業への助成金制度の拡充などを通じて、副業人材の活用を促進することが求められております。そのため、各地域でも地方自治体や教育機関とも連携し、スキルシェアやマッチングが容易にできる環境整備も重要になるでしょう。

日本の経済や社会がグローバル競争や少子高齢化の課題に直面する中、副業人材の活用は柔軟な人材戦略とイノベーションの一環として重要な要素です。企業と政府が副業人材を積極的に活用することで、新たな雇用機会の創出や生産性向上、イノベーションの推進に寄与できると思われます。

 

副業人材を活用することは、企業にとって専門知識の導入やコスト削減など多くのメリットをもたらします。しかし、情報漏洩のリスクや法的な問題、コミュニケーションの困難さなどのデメリットも考慮し、効果的な活用戦略を練る必要があります。企業が副業人材を活用するためには、社内外のリソースを最大限に活かし、適切な契約やサポート体制を整えることで、柔軟で持続可能な人材戦略を構築することが求められます。

 

副業人材に関することでご不明点やご相談したいことがございましたらお気軽にお問い合わせください。

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